健康上の課題

VR酔いに注意

VR体験で注意したいことの一つに「VR酔い」があります。
これはその言葉からもわかるように、VRを体験することによって吐き気やめまいなど車酔いに似た気分の悪さを感じることです。
VR酔いの原因は、もともと体に備わっている空間を知覚するシステムが関係しています。
私たちが自分の体がどこに位置し、また、どのように動いているのかを感知するのは次の3つの感官です。

一つは目からの情報、つまり視覚です。
もう一つは耳からの情報で、具体的には内耳で揺れや加減速を感知します。
そして、もう一つが関節や筋肉などから得られる情報です。

これらの情報がそれぞれの感官を通じて脳に送られ、それが脳で統合されて自分が今いる位置や動きを正確に認識できるようになっています。
加えて、こうして一度認識した情報は記憶として蓄えられ、次に似たような動きや速度を体験したときに脳は「以前のあのパターンだな」と捉え、姿勢をそれに備えて制御できるようになっているのです。

私たちの体はこのような仕組みになっているのですが、VR動画はそれとはまったく異なるパターンで脳に情報が送られます。
視覚から送られる情報によると猛スピードで動いているはずなのに、関節や筋肉は何も感知しておらず、これまでのパターンに該当しない動きのために脳がついていけなくなる状態です。
このようなことから、VR酔いが発生すると考えられます。

VRに関する安全基準がない

VR技術はまだ登場して間がなく、市場もそれほど成熟していません。
そのため安全基準なども存在せず、VR体験を提供する者がそれぞれ独自に対策を講じるしかない状況です。
もちろんVRが人間の体に与える影響は各国で研究されていますが、まだそれらは始まったばかりです。
不適切な高さの仮想オブジェクトが筋肉に負担を与えるらしいことはわかっているものの、それもまだ100%確実であるとまでは断定できません。
今後、同じような研究や検証を何度も繰り返す必要があるのです。

VRという技術自体が新しいゆえ、一定のレベルにまで研究が進むのにもまだしばらく時間はかかるでしょう。
その結果、現在、そうらしいと信じられている説が誤りだったということになることもあるかもしれません。
したがって、VRについて確固たる安全基準が定められるまでにも、まだかなりの時間がかかると予想されます。

安全基準がないのであれば、すでにVRの知見やノウハウに長けた専門企業に開発を依頼するのがベターな選択となるでしょう。
VRゴーグルの選び方からコンテンツの制作まで専門的に請け負っているプロに任せるのが、自社で試行錯誤しながら制作するよりコスト面でも安全面でも良い選択となるのではないでしょうか。