GIGAスクール構想とは
GIGAスクール構想は、全国の児童生徒に1人1台の端末と、高速な通信環境を整えるために文部科学省が始めた取り組みです。「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の略で、誰もが情報にアクセスできる学びの環境を目指しています。
この構想は2019年に発表され、当初は2023年度までに段階的な整備を進める予定でしたが、コロナ禍の影響を受けて、2021年3月末までに端末配布と校内ネットワーク整備が前倒しで進められました。全国の学校でICTを取り入れた学びが本格的に動き出したきっかけとも言えます。
ただ、整備が終わったからといってすべてが完了したわけではありません。2025年度からは「GIGA第2期」として、導入済みの端末を更新していく動きが始まっています。2023年度の補正予算では更新費用として2,661億円が確保され、今後5年かけて計画的に進める方針です。
現場で見えてきた課題
実際に運用が始まると、いろいろな課題も出てきました。たとえば、端末の破損や紛失が起きたときの対応や、保守の手間が教師たちの負担になっているなどです。授業の準備に加えて機器管理まで担うのは、簡単ではありません。
通信環境にもバラつきがあります。全国の学校のうち、2025年現在でも推奨されている通信帯域に届いていない学校が8割ほどあるとされており、動画やオンライン教材を使いたくてもスムーズにいかない場面があるようです。
家庭側にも格差があります。Wi-Fiが整っていない家庭や、きょうだいで回線や端末を共有している家庭では、オンライン学習のしやすさに差が出てしまいます。モバイルルーターの貸し出しなどの支援もありますが、根本的な解決には時間がかかりそうです。
また、端末があるからといって、すぐに授業で使いこなせるとは限りません。2023年時点の調査では、端末の活用率が全国平均で約3割程度にとどまっており、教員側のスキルや慣れの問題も見えてきました。研修やICT支援員の配置など、周囲の支えも欠かせません。
次のステップ「Next GIGA」
こうした課題を踏まえて、今は「Next GIGA」という次のステップに進もうとしています。たとえば、デジタル教科書の導入や、パソコンで行うテスト(CBT)への対応、学習履歴をもとにした個別指導の工夫などが進められています。
さらに、自治体ごとの取り組みに差が出ないように、国や地域による包括的な支援が行われており、先生たちの負担を軽くするための「校務DX」も進行中です。2024年度には、先進的なICT活用を試す「リーディングDXスクール」が全国100校規模で展開され、モデル事例として注目されています。
GIGAスクール構想は、単に端末を配るだけではなく、学びの質をどう高めるかという問いにつながる大きな仕組みでもあります。これからの学校現場で、どんな使い方が根付いていくのか、注目が集まっています。